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いま政府が積極的に奨めている政策のひとつが、女性の役員や管理職への登用。女性の社会的活躍を支援するというものです。
16年度をめどに、従業員301人以上の大企業が女性登用の方針や取り組みを行動計画として公表することを義務付ける。20年には、指導的地位に占める女性の割合を30%にするというのが政府目標です。
いかにも、男の役人が好きそうな数値ターゲット。とりあえず、ゴールを決めるのはいいのですが、肝心の中身がまるで見えてこないのは、なぜでしょう。それに呼応するように、マスコミやCMなどでも、働く女性や子育てしながら頑張るママをテーマにしたものが目につくようになりました。それらは、多種多様。異論反論も飛び交い、さながら時代の寵児のような感じです。
でも、人間社会は女と男。人類黎明期からのつきあいです。社会の推移によって、こうも男女の関係が変わるのもおかしい。みんな、それぞれに支え合って生きているのは間違いないのですから。
そこで、男がひとり頭を悩ましていても、何も解決しないと思い、仕事で活躍しながら、子育てをしている女性おふたりのご意見を伺うことにしました。松本さんと小林さん(経歴は別項にて)の本音トーク。今回と次回、2回の連載です。特に、男性のみなさんは注意深く読まれることをお薦めいたします。
松本理永(まつもとりえ)
株式会社サニーサイドアップ バイスプレジデント。同社創業メンバーとして高校生の時にジョインし、以降同社の基幹事業であるPR事業を担う。独立系のPR会社として、発想も、領域も、手法も、枠にとらわれない同社ならではのPRを展開。今秋より文教大学情報学部非常勤講師。私生活では25歳になる双子の男子と9才の女子の3児の母。
小林麻衣美(こばやしまえみ)
株式会社HappinessWithin 代表。外資系広告代理店などを経て、独立。その後も引き続きコミュニケーションデザインプランナーとして、大手食品会社などのPR、デジタルやソーシャルプロモーションなどを含めた施策について、立案から実施まで多岐に渡り携わる。私生活では5歳になる男子の母。毎日仕事と育児と家事に追われながらも楽しい日々を送っている。
■ 賛否両論にも意義がある、働くママ応援ムービー
関橋:実は、私は小林さんをはじめとして多くの女性スタッフに支えられて仕事をしています。一緒に仕事をしている仲間の大多数が女性です。とくにマーケティングやコミュニケーションの仕事は女性のほうが向いていると以前から思ってましたから。
さて、近頃、ママさん応援ムービーが多いようですが。
小林麻衣美:サイボウズのワーキングマザーをテーマにしたウェブムービーなど話題ですよね。賛否両論がありますが、その賛否両論が、見ていて興味深いです。
松本理永:東京ガスの、お母さんがつくってくれた毎日のお弁当というようなCM、あれはあまり叩かれないですよね。郷愁にはあまり批判的にならないけれど、リアルな今の働く女性の環境を描くと、こんなじゃない、と言われがち。所詮作り物ですし。
でも話題になって、何かを投げかける意味ではいいのかなと思います。PR会社の立場としては、良くも悪くも話題になるのは意味がある。話題になって、こっちは良かった、こっちはちょっとと。みんなが意見を出し合う機会が生まれて、議論ができることだけでも、いろいろな人の考えが見えてくるし、意義があると思います。むしろそれを狙っていたらすごいですよね。
小林:サイボウズの1本目のウェブムービーは、どのシチュエーションもあるあるという感じなんです。それがあまりにもリアルすぎて、見て泣いてしまった女性が周りにもいっぱいいたんですよ。
関橋:女性のほうが男性よりも、どちらかを選択しなければならないと言うことに、毎日直面していると思います。男はそうでもない。
松本:たとえば子どもが熱を出した、というような小さいことでも、会議があるけどどうするのか。毎日が選択の連続です。
小林:あのムービーがうまく表現していたのは、そういう「葛藤」だと思うんですね。でもそれで「大丈夫」って言われても、全然大丈夫じゃないよと思います。
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女性はポジションによるパワーというものをあまり信じていない
関橋:政府があれだけ、女性の登用や活躍促進を謳っていますし、女性の働く環境を改善しようと努力はしているのでしょうが、正直どういう風に思われますか?
松本:もともと、弊社は創業者も現社長も女性で、私も一緒にやってきたのですけれど、なぜ世間はあえて「女性社長」とか、「女性経営者」というのかとずっと思っていました。
それだけ極端に少なく珍しい存在、ということでしょうが。でも、「とにかく経営陣の3割は女性にしなければならない」、というような決め事で優秀な男性のチャンスが減るというのも変な話だなと思います。もちろん、どこかから変えていかなければいけないというのもわかるのです。ヨーロッパでもそうやって根付いてきたわけですし。
関橋:マスコミも何かというと「女性○○」という取り上げ方をする。本来であれば男性でも女性でも、それぞれが自分の一番いいところを出していって、その人に合ったことをやっていくのがい一番いい、それだけのことですよね。
松本:私は女性経営者を必ず置くべきというのは、これまで実感としてあまり必要性は感じませんでした。でもそれは、うちが元々女性が経営者だからかもしれませんね。大きな企業で、女性が昇進していくのに大きな壁があって大変だ、自分の力では如何ともしがたい、というところで働いている女性にとっては、会社の経営陣の3割が女性になれば、希望につながるということはあるのかもしれません。
新聞社の方から聞いた話ですが、すごく優秀な女性の先輩がいて、あの人の能力なら取締役会に入って不思議はないけれど、実際は全員男性だと。そういうお話を伺うと、必要なことなのかもしれませんね。
関橋:男性も、企業や業種によっては、女性の優秀な人とちゃんと対等に働くという経験や感覚が培われていないこともあるかもしれません。言葉は悪いですが、どうしても「女」というふうに見てしまう。自分はたまたまずっと外資系広告代理店だったので、周りには女性が大勢。逆に言えばそういう境界は全然なかったのですが。
松本:ある新規ビジネスを考えていた時、女性の働きやすさのために女性の経営者が何を考えているかについて、インタビューさせていただきました。
みなさん、本当に自分は昇進しようと思ってやってきたわけではない、与えられた仕事、目の前の仕事を一生懸命やってきたら結果、こうなっているという方がほとんどでした。
小林:女性は、昇進して上に立つことが目標じゃないんですよね。
関橋:男は、組織のトップに立つことが一大命題ですが、そこの違いは大きいですね。
松本:うちの社員を見ていても、本人のモチベーションになったり傷ついたりするポイントは、女性は単に肩書、ということではない部分という感じがします。
女性の場合は、やった仕事の内容を認められることが、次のモチベーションにつながる。男性のほうが、その結果としての昇格・降格にセンシティブですね。ポジションに見合う仕事をしようという意識に結びつく意味でいいことでもありますし、もちろん両方有りだと思うのですが、ポイントはすごく違うなと思います。
女性は仕事をしやすい環境にしていったり、いい仲間を手に入れたり、自分が理想とする職場を社内に創りあげていくことは、やりたいと思っている。そこはあきらめていない。そのために自分が上に立ってやるのか、そうではない立場でもうまく組織を誘導していくのか、ということに違いがあるのだと思います。女性は、ポジションによるパワーというものを、あまり信じていない部分があるのかもしれませんね。
もちろん一概に男女で語れることではない、個々人での考え方、というのが大前提ですが。
関橋:そこが大きな違いですね。男性はパワーがほしい。女性はリーダーなり経営者なりになっても、やり方は違うという。ここ10年ぐらい言われている、チームでフラットに仕事をしていくというやり方には、女性のほうが向いていると、私も経験上感じています。
小林:昔ながらのDNAなのですかね。女性は家族を守るのが得意とか、男性は一人でも闘う宿命というのと。
松本:お父さんが強そうだと、あそこの家は攻めたらいけない感じがするから、お父さんは強く見えた方がいいというように。そこを中心に、どんなことがあってもみんなでがんばってやっていく、というのがもともとあるのかも。
関橋:女性は男の顔を立てて、男はうまく使われているわけですよね。家の中では女性に結構回されていますし。
小林:本能的に、男性の方が上でいてほしいという気持ちも女性にないわけでもないですよね。
松本:でも働く女性にとっては、男性をうまくたてて、回していくというやり方では限界があるので、やっぱりボードメンバーに入って一票を明確に投じた方がいい、という判断でこういうことになっているのだと思います。
業種によっては、無理矢理にでも意見を入れていかないと、男性経営者が気づかない。ほんとうは優秀な男性だったら、性差を超え理解して環境改善などもできるはずですが、そうなっていないということですね。
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女性が自ら整えなければならない、働き続けられる環境
関橋:男性側から見ると、女性は子どもを産み育てなければいけないと一方的に思っている面がありますが、それが仕事をする上ではハンデだと感じていらっしゃいますか?
松本:弊社は30代の女性社員が多いのですが、出産、育児の問題はなかなか一筋縄ではいかないです。でもこの会社に入ってきてくれて、こうしたいという思いに対して会社は、制度だったり風土だったりでは最大限サポートしていきたいと思っています。
私の周りのワーキングマザーは業界的な特徴もあるのかもしれませんが、非常にたくましい母が多いです。働きたいのだったら自分で環境を整えないと。会社なんて何もしてくれないんだから、と彼女たちは言うのです。
たとえば子どもが熱を出したときの対応など、プライベートで助けてもらう分は自分で用意するしかないと。確かにそうですが
小林:ワーキングマザーとしては、常に事前に考えています。何かあったときにこうしよう、ああしようと。
松本:自分も子どもが小さいときは、子どもが具合悪くなって休まなければならない場合に備えて、元気な間は休暇を取らないようにしていました。
もちろん権利としては、有休を取っていいのですけれど。
誰もが同僚には心情的に、お子さんの具合が悪いときぐらい休んでね、と思ってもらいやすい状況にしておきたいのではないでしょうか。
どちらも人間なので。日頃とにかく誠実に仕事をしていれば、あの人が言うんだからよっぽど困っているんだと、同僚も手をさしのべてくれると思います。子どもがいると、よりそういう風にがんばらなければならない面はあるのかなと。自分の精神的にもそうしておかないといられない、というか。
ただ、これからお母さんを目指す女子社員に、そういう風にした方がいいよ、と押しつけるつもりは全くないですが。
小林:私も、軽めではありますが睡眠導入剤に頼ることがありました。自分の体調が悪くなったら、すべてがダメになりますから、意識的にちゃんと寝ようとする。とくに嫌なことがあったり、明日は大変な仕事があるというときは眠れなくなるじゃないですか。でも寝ないとやっていけないので、必死に寝る。
松本:私も子どもが小さいうちは、子どもの具合が悪くなって、自分は寝られない夜がある。だから、そうじゃないときは寝ておかないと、と思っていました。
互いに働く仲間に、人として信頼される存在であるよう努力すべきだ、とも常に思っています。たとえば、妊婦は歩くのが遅くなりますが、社員によっては、お腹が大きくて早く歩けなくて遅刻しましたと言う人もいる。でも、ゆっくり歩いても遅れないように、その分早く出ないとダメだと思います。これはもちろん、男女や子どもの有無にかかわらず、職業人として当たり前のことですが。個々の事情と甘えとは違うと思います。
小林:事実、権利ばかり主張する女性も増えていることもありますよね。
松本:それはお互いにとって良くない。できることなら、みんなに祝福してもらって、がんばってねと心から言ってもらいたい。自分もいろいろ申し訳ないという思いも忘れずに、みんなの将来のために、もう一人子どもを産んで社会を支えるわよ、くらいの感じで勤めていられるといいと思います。
関橋:子育てなどをめぐる日々の選択の積み重ねが、女性の決断力を鍛えている面もあるかもしれません。男はそうでもない。だから逆に言うと、大きい仕事だぞ!どうしたいんだ!と言われたときに、選択できない男も結構多い。
松本:一般的に男性は子どもがいても、関係なく仕事をしているのがうらやましいと思う。その反面、こちらも、子どもがいても関係なく男性が働くことを当たり前のように思っていますが、それも本当は良くないですね。
介護においても同じで、ご夫婦で必要が出たときに、旦那さんと奥さんとどっちが?という話に本当の意味でなれるといいですね。今までは、なんとなく女の役目という風になっているような気がします。
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求められるのは柔軟性と多様性
小林:最近公開された、GoogleのWomen Willプロジェクトのウェブムービーで復職したワーキングマザーを同僚が「お帰り!」「おめでとう!」と迎えるものがありましたが、あれ見たときになんだか頭に来てしまって。事実、私の廻りでも、そんなに現実甘くないことの方が多いですから。
松本:でも、弊社の本当にがんばっている社員なら、出産して復帰したら、あんな感じにみんな迎えると思います。あなたのためなら私が代わってでも、と思ってもらえるくらいの仕事をしているので。
小林:やはり日頃からの人間性のつながりが重要ですよね。
松本:少なからずフォローは必要ですよね。子育てや介護に限らず、本人が病気になった場合も同じですから。しかも出産であれば、何よりおめでたいことですし。
小林:応援されたら、こちらもやはりやりたいと思えるから、そのプラスのスパイラルができてくるといいですね。
関橋:私の知り合いの、江戸時代からの老舗化粧品会社では、女性の社員がみな本当に楽しそうに働いています。小さい子どものいる社員に対しては、5時になるとみんなが帰っていいよと声をかける。会議をしている途中でも。まったく悪そうじゃなく、「じゃあね~」という感じで、見送る方も帰る方も明るい雰囲気なんです。
松本:メーカーだと、そういうことも可能なのかもしれませんね。友人の化粧品会社でも、社長以下、5時できちんと退社してしっかり業績も上げています。私どものような代理店業務では、会社が定時で帰っていいよと言っても、結局クライアントさんから携帯に連絡が入って、今日中に何とかしてと言われたりする。携帯やPCの普及で、夜中まで仕事しなければならなくなりました。
25年前に出産した頃は違っていました。携帯はあったのですが、まだここまで普及してはいなかったですよね。自宅の家(イエ)電まで追いかけられた記憶はそうそうないので、家に帰ったら子どもたちのことに集中できる感じだったのではないかと思います。いまはもうメールは常に見ていますし、遅い時間や休日に来るメールほどいいことではない場合が多いので、すごくドキドキしてしまいます。
小林:私はフリーなので、企画書作成などの作業は家でできますが、子どもが寝てからまた仕事をしたり、起きてくる前の朝4時から仕事をしたりしています。会社にいるべきなのか、家でやってもいいのかは実はすごく大きくて、在宅ワークのフレキシビリティがあるかどうかが、小さい子どもを抱えて働き続ける上で大きいと思います。
在宅ワークはセキュリティなどの問題もありますが、周りからどう思われるかという精神的な面も大きいですね。
松本:ある会社の子供向け製品の事業部では、小さいお子さんのいる女性社員ばかりを集めてチームを組んだそうです。そうすると、みんなで助け合ってうまく時間をやりくりし理解もしあって働けるようになると。だからどこの会社もそういう人がもっと増えてくると、みんなお互い様でできるようになるのかな。
弊社では、まだそこまで大勢の人数がいないので、まだ出来てませんが。PRの仕事が好きで入ってきた女性が、うまく子育てしながら続けられたらいいなと想像すると、子育て中であることを強みにして、関係するクライアントさんを取りに行くこともできるかもしれませんね。「何言ってるんですか、私たちこういうチームなんですから、早く帰るに決まっていますよ」と言えるような。
小林:そういうチームは、サニーサイドアップさんぽくていいと思います。
松本:ある広告代理店の知人の女性は、自分がついていた先輩の女性が仕事はバリバリやりながら、定時に帰って子育てもうまく両立していた。それを見てきたので、自分が子どもを産むときになったら、ああいう風にやろう、やれるんだと自然に思えたそうです。先輩女性がロールモデルになって、後輩と補い合えるようにしていけば、良い方向になっていくのかもしれません。
関橋:そういう姿を周りの若い男性も見ていれば、そういうやり方でやったほうが、成果が出やすくなると理解できますよね。会社ごとに業種や風土は違いますが、女性がより働きやすくなる事例がいっぱい出てくると、変わる可能性はありますよね。
小林:そもそも、正規雇用である必要がどこまであるんですかね。正規雇用で仕事を続けるのが難しくてみんな悩んで、子育てで離脱して。でも5年以上ブランクがあると、その業界には戻れないという見えない壁があります。何よりブランクが怖い。正社員でなくても、お給料が安くても、現役でいたいというのはあるようです。
私が子どもを産んだ年は、ソーシャルメディアが急成長したときだったんですよ。産んでいるあいだにどんどん進んで、たった一ヶ月で浦島太郎状態。すごい危機感がありました。でも逆に復帰したとたんに、取り戻さなければというパワーも非常に出て、一生懸命勉強したら、周りよりも上に行けたということもありました。女性はそういう瞬発力みたいなものも、あったりするかもしれないですよね。
松本:いまは雇用環境が、本当に厳しいのだと思います。弊社のアルバイトの面接に、前職では正社員だったという方が多くいらっしゃいます。正社員であっても、一生守ってもらえるわけではなくなったので、意識を変えなくてはならないのかもしれません。
関橋:正規雇用と契約や非正規雇用の賃金格差が、もっと縮まるといいのかもしれません。
小林:子どもを産んだとき、このまま社会に戻れないんじゃないか、というような世界からの疎外感をいちばん感じるのですが、そこをうまく埋めてあげれるといいのでは。
子育てでいろいろな人に迷惑をかけているな、と言うことは常に感じています。関橋さんとのお仕事ではご了解いただいて、打ち合わせはもちろん、出張にも子どもを連れて行かせていただくこともあって、ありがたいですけれど、甘えすぎてはいけないなと思ったり。そんな遠慮がいらなくなるように、風土自体が変わってほしい。
自分はフリーランスですが、フリーは仕事がなくなる日もあるかもしれないという不安も常にあるわけで、子どもが7才過ぎて手が離れたら正社員に戻るという選択肢もあってほしい。自分が社長のままひとりでずっとやっていきたいとも、会社を大きくしたいとも思っていなくて、たまたま今の働き方が、私には合っているということです。
お給料は、そんなに多くは求めていない人たちが多いので、フレキシブルなやり方が、もっとできるようになるといいなと思いますね。
松本:聞いたところでは、UAEでは20代前半で子どもを数人産んで、10年くらいは子育てに集中し、35才くらいでいよいよキャリアがスタートと、バリバリ働くケースが多いそうです。そこからは落ち着いて一生働くと。なるほどな、と思いました。
私たちは1年とか半年という風に育休を考えるけれど、若くて元気なうちにみんな子育てを終えて、その先はじっくり働くというのは面白いと思いました。その間、何かしら勉強もできますし、人としての経験は積めるわけですから。女性の就業率は高くて、ほとんどみんな働くそうです。企業側としても、いろいろな経験を積んできた30代の人を新卒のお給料で雇えるのは悪くないでしょうし。
小林:働く女性が、いろんなスタイルを選択できるような環境になっていくといいですね。
松本:働き方を選択できないと、子育てとの両立は厳しいですね。
関橋:働き方を変えれば、政府が何も言わなくても勝手にそういう世の中になりますよ。
松本:でも本当に働きたくても、手取り月10万円とか15万円とかいうお金で、子どもも育ててという境遇では、ものすごい大変ですよ。東京なら、まだ職はあるけれど、地方だと本当にさらに大変でしょう。でも労働力の面からいえば、女性が働かなかったら半分しかないわけで。
小林:それが100%は馬力が出せなくても、7割なら出せる人が10人いればいいわけじゃないですか。
松本:仕事を選ぶ側が、女性が働きやすい環境を整えた会社を選ぶようになればいい。そうしないと人が来てくれないという風になって、はじめて変わるかもしれません。
関橋:2割が変わると、大きな動きにつながるかもしれませんね。
小林:いまはまだ旧態依然に、女性たちのほうが合わせようとしているのかもしれませんね。
男性にとっては、目からウロコ。女性は、ポジションのために働いているわけではない。社会が用意してくれないのなら、自分で働ける環境をつくってしまう。働くということは、いまの時代、多種多様なやり方があるほうが効果的なはずだ。枠からはみだすことの下手な男は、どうしても固定観念から抜け出せない。それが、子どものいる女性の働き方にまで常識を持ち込んでしまうのですね。
これからの社会のやりようを教えていただいたようでした。さて、次回はどんなお話しが飛びだすのでしょうか。お楽しみに。
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